バネの見えない、がたつかない部分義歯【歯周病の治療と強く噛める入歯】

コーヌス・テレスコープ・デンチャー症例1

コーヌス・テレスコープ・デンチャー 義歯60代男性です。
「下の入れ歯が合わない、残っている歯が虫歯で、しかもグラグラする。」ということで来院されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初診時

コーヌス・テレスコープ・デンチャー 治療前

歯ぐきには、歯ぐきが化膿することによってできたおできがあります。

 

コーヌス・テレスコープ・デンチャー 治療前

右下(写真向かって左)へのインプラントも検討したのですが、

骨の残っている量、歯周病の状況から、テレスコープデンチャーを希望されました。

 

終了時

コーヌス・テレスコープ・デンチャー 治療後

歯周病の状況が思わしくなかったため、8ヶ月ほどかかりました。

入れ歯を装着すると、バネが無いため、入れ歯であることはわかりません。

 

入歯 治療後

入れ歯をはずすと、残っている歯が金歯となっているのがわかります。

歯周病の治療を行うことによって歯ぐきが引きしまり、

上の歯は初診時よりも歯の根が見えるようになりました。

歯ぐきが腫れて膨らんでいる時に製作されたものであるため、

歯と被せ物の間に多少段差があります。私としては気になるのですが、

患者様の希望により、そのままとしました。

 

 

テレスコープ・デンチャー

コーヌス・テレスコープ・デンチャー 義歯

 

コーヌス・テレスコープ・デンチャー 義歯

残っている歯への被せ物と一体化したこの入れ歯をテレスコープ・デンチャーといいます。

この入れ歯の最大の利点は、

例え1本、2本抜歯することになったとしても、作り直す必要が無いことだと思います。

自前の歯ですら病気によって失うのですから、

人工的に作られたものは、なおのこと、失う可能性が高いと思います。

「壊れない、完成されたもの」を作るのではなく、

「万一の場合に備えることができるもの」を作るということも大切であると思います。

 

金額は\1,160,000(税別)でした。

その内訳は以下の通りです。

被せ物の部分 \160,000×6本=\960,000

義歯の部分 \200,000

 

 

歯科医師から一言

どんな治療方法にせよ、利点と欠点は必ずあります。

テレスコープデンチャーは入れ歯と被せ物を一体化した形の入れ歯です。

入れ歯という物体が、口の中に入るということが欠点かと思います。

しかし、以下の様な利点があります。

1.残っている歯の本数が少ないほど(失った歯が多いほど)、

治療回数が少なく、かつ、治療費を抑えることができます。

(インプラントや他の治療は残存歯が少ないほど治療費がかかります。)

(逆に2本くらいの歯の欠損の場合、インプラントの方が治療費を抑えられることもあります。)

 

2.従来の入れ歯は、バネのかかっている歯がダメになると作り直しをしなければなりませんが、

テレスコープデンチャーは修理して使えます。壊れないわけではありませんが、修理して長く使えます。

 

3.従来の入れ歯はバネでひっかけているので動きがありますがテレスコープデンチャーは動きが少ない。

 

4.動きが少ないのでよくかめます。

 

5.動きが少ないので異物感が少ない。

 

6.特別な外科処置、手術を必要としません。普通の歯科治療の範囲でできます。

よって高齢者、高血圧や糖尿病の方、その他の有病者、

インプラントをするには難しいと言われた方でもできます。

 

 

7.清掃がしやすい。介護をする方も、される方も非常に楽です。

口の中の衛生状態が、さまざまな全身疾患をひきおこすことが分かってきた現在、これは重要なことと思います。

【筆者】
清水 信行 歯科医師(歯学博士)

日本補綴歯科学会 専門医
日本糖尿病協会歯科医師登録医
日本顎咬合学会:認定医
JIADS:会員 PGI:会員
浜松市歯科医師会:
在宅歯科・介護委員会 所属

静岡県浜松市の歯科医
「オペラデンタルオフィス」院長として、日々数多くの患者の症例と向き合っています。

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